東京大学教授の染谷隆夫(そめや たかお)さんは、曲げたり伸ばしたりできる「電子皮膚(E-skin)」をはじめとする次世代エレクトロニクス研究で世界的に知られる研究者です。
現在は研究の第一線にとどまらず、東京大学の執行役・副学長や産学協創推進本部長として、大学発スタートアップの支援や大学運営の中心を担っています。さらに2026年には、東京大学総長選考の第2次候補者に選ばれたことでも大きな注目を集めました。
この記事では、染谷隆夫さんのこれまでの学歴や経歴、代表的な研究内容から、父親である染谷常雄さんとの関係、2026年総長選考の経緯と結果までをわかりやすく整理して紹介します。
染谷隆夫の学歴と経歴|工学部長を経て東大副学長へ
染谷隆夫さんは、東京大学で工学博士を取得した生粋の工学研究者であり、研究室での実績を重ねて工学系研究科長・工学部長、そして副学長へと着実に歩みを進めてきました。
学生時代から現在に至るまでの主な学歴と経歴は以下の通りです。
主な学歴
- 東京学芸大学附属竹早小学校・中学校、東京学芸大学附属高等学校を卒業
- 1992年3月:東京大学 工学部 電子工学科 卒業
- 1994年3月:東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻 修士課程修了
- 1997年3月:同 博士課程修了、博士(工学)を取得
- 博士論文テーマ:「ナノメートル寸法のT型量子細線の作製と光学特性」(ナノテクノロジー関連の研究)
主な経歴と役職
- 1997年:東京大学 生産技術研究所 助手
- 2000年:東京大学 先端科学技術研究センター(講師などを歴任)
- 2001年〜2002年:米国コロンビア大学などで客員研究員として海外研究に従事(その後の研究方針を大きく広げる契機となる)
- 2003年:東京大学大学院 工学系研究科 助教授(のちに准教授)
- 2009年4月:東京大学大学院 工学系研究科 教授に就任
- 2020年4月〜2023年3月:東京大学大学院 工学系研究科長・工学部長
- 2023年4月〜現在:東京大学 執行役・副学長(産学連携・スタートアップ等を担当)
- 2026年現在:産学協創推進本部長を兼務
若手時代からナノ領域の基礎研究で実績を築き、海外での研究活動を経て教授に就任した後は、日本の工学教育・研究を率いる学部長や大学全体の経営を支える執行役・副学長として活動の幅を広げています。
研究内容とベンチャー・社会実装への取り組み
染谷隆夫さんの研究における最大の成果は、人間の肌のようにしなやかで柔らかい「電子皮膚(E-skin)」をはじめとするフレキシブルエレクトロニクス技術です。
柔らかい電子回路「電子皮膚(E-skin)」の開発
従来の硬い半導体とは異なり、曲げたり伸縮したりできる有機半導体や有機トランジスタを用いることで、次のような新しいデバイスを開発してきました。
- ロボット用人工皮膚:大面積の柔らかいセンサーを貼り付け、触覚を持たせる技術(2000年代に注目を集める)
- 医療・ヘルスケア向け生体センサー:肌に直接貼り付けて心電図などの生体信号を計測する極薄センサーや、通気性に優れたナノメッシュ電極(染谷・横田研究室などで推進)
身につけていることを忘れるほど薄く肌に密着するデバイスは、未来の日常健康管理や遠隔医療を変える基盤技術として期待されています。
大学発スタートアップの支援と社会実装
染谷さんは技術を論文にとどめず、「社会実装(世の中に役立てること)」へとつなげる活動に注力しています。
自身が一から会社を立ち上げた創業者という立場ではなく、東京大学の産学協創推進本部長や副学長として、研究者の起業や大学発スタートアップを総合的に支援する責任者を務めています。 首都圏の大学や自治体などが連携する「Greater Tokyo Innovation Ecosystem(GTIE)」などの広域スタートアップ創出基盤にも関わり、若い研究者や学生に向けたアントレプレナーシップ(起業家精神)教育の普及に力を注いでいます。
父親・染谷常雄氏との関係と2026年東大総長選の調査結果
染谷隆夫さんの研究者としての原点には同じく東京大学教授を務めた父親の存在があり、2026年には次期東大総長選考の最終候補として脚光を浴びました。
父親は東大名誉教授の染谷常雄氏
染谷隆夫さんの父親は、機械工学の分野で著名な東京大学名誉教授の染谷常雄(そめや つねお)さんです。
- 内燃機関(エンジン)やすべり軸受(ベアリング)などのトライボロジー研究で知られる工学者
- 2024年に開催された「染谷常雄先生を偲ぶ会」にも、長男の染谷隆夫さんが出席されていました。
隆夫さん自身も「父が工学系の研究者だった環境が進路選択に影響を与えた」と振り返っており、親子二代にわたって東大教授・工学研究者として日本の学術界を支えてきたという際立った背景を持っています。
2026年「東京大学総長選考」の経緯と結果
2026年、藤井輝夫現総長の任期満了に伴って実施された次期総長選考において、染谷隆夫さんは第2次候補者(5名)の1人として選出されました。
- 教職員による意向投票:9月28日の意向投票(第2回投票)において、染谷さんは1,107票を獲得し、高い支持を集める
- 最終選考結果:総長選考・監察会議による所信表明・面接・意向投票などを総合した審議の結果、次期総長予定者には藤垣裕子さんが選出される
今回の選考で総長予定者への就任とはなりませんでしたが、学内意向投票で1,000票を超える多くの支持を集めたことは、研究者および執行役としての高い人望を示しています。今後も執行役・副学長として、東大の教育・研究改革や産学官連携を力強く牽引していくことが期待されます。
まとめ
世界的な電子皮膚研究のパイオニアであり、大学発スタートアップ創出の舵取りを担う染谷隆夫さん。今回の調査で分かったポイントを振り返ります。
- 学歴・経歴:東大大学院修了後、工学部長を経て東京大学執行役・副学長、産学協創推進本部長を務める
- 研究実績:曲がるセンサー「電子皮膚(E-skin)」の第一人者で、医療・ヘルスケア応用を推進
- スタートアップ支援:研究成果の社会実装を目指し、起業支援基盤や教育環境を統括
- 家族関係:父親は同じく東大名誉教授(機械工学)の染谷常雄氏
- 東大総長選:2026年の総長選考で意向投票1,107票を集め、第2次候補者として存在感を示した
次世代の医療や産業を支える研究の進展とともに、大学の枠組みを超えた産学連携の取り組みからも目が離せません。


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