「札幌と福岡、どっちが都会?」──この問いに対して、SNSでは「福岡のほうが栄えてる」「いや札幌のほうが大都市」と感覚論が飛び交います。しかし転勤や移住、進学先の選択で本当に必要なのは、客観的なデータに基づいた比較ではないでしょうか。
本記事では、2025年10月時点の最新公式統計をもとに、人口・経済・交通・オフィス・再開発の5つの指標で両都市を徹底比較しました。すべてのデータに出典を明記し、年度や基準日の違いも正直に注記しています。
読み終えるころには、「都会」の定義が多角的であることを理解し、あなたの目的に合った選択基準が明確になるでしょう。
📖 この記事で分かること
- 人口・密度・経済:札幌が26万人多いが、福岡の密度は2.8倍
- 商業・交通:百貨店売上は福岡が941億円リード、空港アクセスも福岡優位
- オフィス・再開発:賃料は福岡が高め、両都市とも大規模プロジェクト進行中
- 目的別の選び方:空港重視なら福岡、広域拠点性なら札幌
- データの出典:すべて一次情報源(市公式統計・政府統計)を明示
人口・都市圏規模で比較:札幌が26万人上回るが、密度は福岡が2.8倍
結論から言えば、人口総数では札幌が大きく上回りますが、人口密度と都心部への集積度では福岡が圧倒します。「都会」を「規模」で測るか「密度」で測るかで、評価は真逆になるのです。
2025年10月1日時点の最新データを見ていきましょう。
人口総数:札幌193万 vs 福岡167万
札幌市の人口は1,932,734人(住民基本台帳、2025年10月1日)。一方、福岡市は1,670,636人(推計人口、2025年10月1日)です。その差は約26.2万人。札幌が福岡を約15.7%上回ります。
この数字だけを見れば、「札幌のほうが大都市」と言えるでしょう。実際、政令指定都市の中でも札幌は全国5位、福岡は6位に位置します。人口規模で比べるなら、札幌に軍配が上がります。
ただし、この「総数」だけで都市の実力は測れません。次の密度指標が、まったく異なる景色を見せてくれます。
人口密度:福岡4,864人/km² vs 札幌1,724人/km²
札幌市の面積は1,121.26km²、福岡市は343.47km²。面積で割った人口密度を計算すると、札幌は約1,724人/km²、福岡は約4,864人/km²となります。福岡の密度は札幌の約2.8倍です。
この差が生む「体感」は想像以上です。福岡では地下鉄駅の徒歩圏に商業施設・オフィス・住宅が密集し、「歩いてすぐ」の利便性が高まります。一方、札幌は広域に市街地が広がり、移動に時間がかかる場面も多くなります。
「都会らしさ」を「街の密度感」で測るなら、福岡のほうが体感的に都会と感じる人が多いでしょう。
📊 人口・密度の比較表
| 項目 | 札幌市 | 福岡市 | 差異 |
|---|---|---|---|
| 人口 | 1,932,734人 | 1,670,636人 | 札幌が約26.2万人多い |
| 面積 | 1,121.26km² | 343.47km² | 札幌が約3.3倍広い |
| 人口密度 | 約1,724人/km² | 約4,864人/km² | 福岡が約2.8倍高密 |
※人口は2025年10月1日時点。札幌は住民基本台帳、福岡は推計人口(毎月1日現在)。密度は筆者計算。
昼夜間人口比が示す「都心の吸引力」
もう一つ重要な指標が昼夜間人口比です。これは「昼間人口÷夜間人口×100」で算出され、100を超えると「周辺から通勤・通学で人が流入している」ことを示します。
2020年国勢調査によれば、福岡市(北九州・福岡大都市圏中心市)の昼夜間人口比は109.8。つまり昼間は夜間より約10%人口が増える計算です。これは都心のオフィス・商業の集積度が高く、周辺都市から人を吸い寄せる力があることを意味します。
一方、札幌市の最新の昼夜間人口比は現在確認中ですが、過去データでは100前後で推移しており、福岡ほどの流入超過は見られません。
この差が「平日昼の都心の賑わい」「ビジネス街の活気」という体感差につながります。福岡の天神・博多エリアが平日に特に賑わうのは、この昼夜間人口比の高さが一因です。
経済・商業規模で比較:市内総生産は拮抗、百貨店売上は福岡が941億円リード
経済規模を示す市内総生産はほぼ同等ですが、「商業の密度」を示す百貨店売上では福岡が大きくリードします。これは都心部への商業集積の違いを如実に示しています。
数字で見ていきましょう。
市内総生産:両市とも7.7兆円規模(注意:年度違い)
札幌市の市内総生産(名目)は7兆7,038億円(2022年度)。福岡市は7兆8,277億円(2021年度)です。差はわずか約1,239億円、率にして約1.6%。ほぼ拮抗していると言えるでしょう。
ただし注意が必要なのは、年度が異なる点です。札幌は2022年度、福岡は2021年度のデータであり、単純比較には限界があります。それでも両市が「7兆円台後半」という同じ経済規模のクラスに属していることは間違いありません。
この数字は、両都市がそれぞれの地域で中核的な経済拠点として機能していることを示しています。札幌は北海道全体の、福岡は九州全体の経済をけん引する存在です。
📌 市内総生産の比較
| 都市 | 市内総生産(名目) | 年度 |
|---|---|---|
| 札幌市 | 7兆7,038億円 | 2022年度 |
| 福岡市 | 7兆8,277億円 | 2021年度 |
| 差異 | 約1,239億円(約1.6%) | ─ |
※年度が異なるため参考比較。札幌は2022年度、福岡は2021年度の公表値。
百貨店売上:福岡2,577億円 vs 札幌1,636億円
一方、商業の実力を測る指標として分かりやすいのが百貨店売上高です。2024年(暦年)の実績を見ると、明確な差が現れます。
札幌市の百貨店売上は1,636億円。福岡市は2,577億円。その差は約941億円、率にして約57.5%も福岡が上回ります。
この差は何を意味するのでしょうか。百貨店は都心の一等地に立地し、富裕層や観光客を含む幅広い顧客を集める商業施設です。その売上規模は、都心部への人の集まりやすさ、商圏の購買力、インバウンド需要などを反映します。
福岡は天神・博多エリアに大丸、岩田屋、博多阪急などが密集し、地下鉄直結の動線で高い回遊性を実現しています。また福岡空港から都心まで約10分という立地が、国際線利用客の立ち寄り需要も取り込んでいます。
対して札幌は大丸、三越、東急、丸井今井などが札幌駅・大通エリアに集積していますが、新千歳空港から都心まで約40分という距離が、短時間滞在客の取り込みではやや不利に働いていると考えられます。
📊 百貨店売上高の比較(2024年)
| 都市 | 百貨店売上高 | 差異 |
|---|---|---|
| 札幌市 | 1,636億円 | ─ |
| 福岡市 | 2,577億円 | +941億円(+約57.5%) |
※日本百貨店協会「全国百貨店 売上高速報 2024年1月〜12月 第1表 地区別売上高」より。
商業の「密度」が生む体感差
市内総生産がほぼ同等なのに、百貨店売上で大きな差が出る。この現象は何を示しているのでしょうか。
一つの解釈は、商業機能の「集中度」の違いです。福岡は限られたエリア(天神・博多)に商業・オフィス・交通が高密度に集積し、回遊性が高い構造になっています。地下鉄で2駅、徒歩でも移動できる距離に主要施設がすべて揃うため、短時間で効率的に買い物や商談ができます。
一方、札幌は札幌駅・大通・すすきのと南北に長く商業エリアが広がり、移動に地下鉄やバスを使う場面が多くなります。この「広がり」は選択肢の豊富さというメリットもありますが、短時間滞在者にとっては「回りにくい」と感じさせる要因にもなります。
「平日の昼間にサッと買い物を済ませたい」「出張の合間に複数の商談をこなしたい」といったビジネスパーソンにとっては、福岡の密度感が有利に働くでしょう。逆に「ゆったりと街を散策したい」「エリアごとの個性を楽しみたい」なら札幌の広がりが魅力になります。
交通インフラで比較:空港アクセスは福岡圧勝、地下鉄網は札幌が広域
交通インフラは「都市の使いやすさ」を決定づける重要要素です。結論から言えば、空港アクセスと国際線では福岡が圧倒的優位、地下鉄網の広がりでは札幌が上回ります。出張が多いか、市内移動が多いかで評価は変わります。
具体的なデータを見ていきましょう。
空港旅客数:福岡2,712万人 vs 新千歳2,483万人
2024年度(2024年4月〜2025年3月)の空港旅客数を比較すると、福岡空港は2,712万人で過去最多を記録しました。新千歳空港は約2,483万人(2,482万6,579人)で、こちらも過去最多です。
福岡が約229万人上回っており、特に国際線の回復が顕著です。福岡空港は韓国・中国・台湾など東アジア路線が充実しており、インバウンド需要の受け皿として機能しています。2024年度の国際線旅客数は大幅に増加し、コロナ前の水準を回復しつつあります。
新千歳空港も国内線では圧倒的な規模を誇り、全国各地への直行便が充実しています。特に東京(羽田・成田)への便数は国内最多クラスで、ビジネス需要を支えています。ただし国際線は福岡ほどの密度はなく、東アジア路線が中心です。
✈️ 空港旅客数の比較(2024年度)
| 空港 | 旅客数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 福岡空港 | 2,712万人 | 国際線充実、東アジア路線が強み |
| 新千歳空港 | 約2,483万人 | 国内線トップクラス、全国各地へ直行便 |
| 差異 | 約229万人 | 福岡が約9.2%上回る |
※2024年度(2024年4月〜2025年3月)実績。両空港とも過去最多を記録。
空港アクセス:博多5分 vs 札幌37分
空港の規模以上に重要なのが都心までのアクセス時間です。ここで福岡の優位性は決定的になります。
福岡空港から博多駅まで地下鉄空港線で約5分、天神駅まで約11分。しかも地下鉄は福岡空港の国内線ターミナル直結で、到着後すぐに改札に向かえます。乗り換えなし、移動距離も最小限で、「飛行機を降りて15分後には都心で打ち合わせ」が現実的です。
一方、新千歳空港から札幌駅までは、JR快速「エアポート」で最速37分(特別快速は36分)。距離にして約50km離れており、空港と都市が物理的に分離しています。札幌市内に入ってからも地下鉄やバスへの乗り換えが必要な場合が多く、最終目的地まではさらに時間がかかります。
この差は出張者にとって極めて大きな意味を持ちます。「日帰り出張」を考えた場合、福岡なら往復で約1時間の時間短縮が可能。年間を通じれば膨大な時間の差になるでしょう。
福岡
福岡空港 → 博多駅
地下鉄空港線で約5分(天神まで約11分)
✓ ターミナル直結、乗り換えなし
✓ 到着から15分で都心で商談可能
✓ 日帰り出張の時間効率が極めて高い
札幌
新千歳空港 → 札幌駅
JR快速エアポートで最速37分(特別快速36分)
✓ 距離約50km、空港と都市が分離
✓ 市内各所へはさらに乗り換え必要
✓ 移動時間は長いが、車窓から北海道の風景を楽しめる
地下鉄網:札幌46駅48km vs 福岡36駅31km
市内の移動手段として重要な地下鉄を比較すると、札幌のほうが広域をカバーしています。
札幌市営地下鉄は3路線・46駅・総延長約48km。南北線・東西線・東豊線が市内を広くカバーし、住宅地から都心、観光地まで地下鉄だけで移動できる範囲が広いのが特徴です。冬季の積雪・寒冷を考えると、地下鉄網の充実は生活の質に直結します。
福岡市地下鉄は3路線・36駅・営業キロ31.4km。空港線・箱崎線・七隈線(延伸後)が都心部を密にカバーしています。延長距離は札幌より短いものの、都心部の駅間距離が短く、「歩いて行けない距離はない」という密度感があります。
広域移動の利便性では札幌、都心部の密度では福岡が優れていると言えるでしょう。
| 項目 | 札幌市営地下鉄 | 福岡市地下鉄 |
|---|---|---|
| 路線数 | 3路線 | 3路線 |
| 駅数 | 46駅 | 36駅 |
| 総延長 | 約48km | 31.4km(営業キロ) |
| 特徴 | 広域カバー、冬季の移動に必須 | 都心密度高、空港直結 |
オフィス市況:福岡の賃料が高め=需要旺盛
ビジネス拠点としての需要を示すのがオフィス市況です。2025年9月時点の三鬼商事のデータを見てみましょう。
札幌のオフィス空室率は4.05%、平均賃料は11,001円/坪。福岡は空室率4.87%、平均賃料12,156円/坪です。
両市とも空室率は4%台と健全な水準ですが、賃料では福岡が約10.5%高くなっています。これは福岡のオフィス需要が旺盛であること、企業の進出意欲が強いことを示しています。
特に福岡は「天神ビッグバン」による都心部の再開発で、新しい高機能オフィスビルが次々と竣工しており、IT企業やスタートアップの集積が進んでいます。賃料が高くても入居したい企業が多い状況です。
🏢 オフィス市況比較(2025年9月)
| 都市 | 空室率 | 平均賃料(円/坪) |
|---|---|---|
| 札幌 | 4.05% | 11,001円 |
| 福岡 | 4.87% | 12,156円 |
※両市とも健全な空室率。福岡の賃料が約10.5%高く、需要の強さを反映。
🎯 ここまでのポイント
- 人口:札幌が26万人多いが、密度は福岡が2.8倍
- 経済:市内総生産は拮抗、百貨店売上は福岡が941億円リード
- 交通:空港アクセスは福岡が圧倒的、地下鉄網は札幌が広域
次のセクションでは、両都市の再開発・都市開発の動きを比較し、将来性を見ていきます。
再開発・都市開発で比較:福岡は「天神ビッグバン」、札幌は「駅前再開発」
両都市とも大規模な都市開発が進行中です。福岡は「天神ビッグバン」で都心の高機能化、札幌は札幌駅周辺の大規模建替で拠点性を強化しています。どちらの都市も今後5〜10年で景観と機能が大きく変わるでしょう。
それぞれのプロジェクトを見ていきます。
福岡「天神ビッグバン」の狙いと進捗
福岡市が2015年から推進する「天神ビッグバン」は、規制緩和によって天神地区のビル建替を促進するプロジェクトです。容積率の緩和や高さ制限の見直しを行い、老朽化したビルを最新の高機能オフィス・商業ビルに更新していきます。
具体的には、航空法の高さ制限(76m)を前提としつつ、セットバック(建物を後退させる)手法で実質的な床面積を最大1.4倍に拡大。2024年までに既に複数の大型ビルが竣工し、IT企業やスタートアップの誘致に成功しています。
天神ビッグバンの狙いは単なるビル建替ではありません。アジアの拠点都市としての競争力強化が目的です。福岡空港から都心まで約10分という立地を活かし、国際会議やビジネスイベントを誘致。九州全域、さらには東アジアのゲートウェイとしての地位を確立しようとしています。
2025年以降も天神地区では複数のプロジェクトが進行中で、2030年代前半まで開発ラッシュが続く見込みです。
💡 天神ビッグバンの特徴
- 規制緩和:容積率緩和で床面積を最大1.4倍に拡大
- 対象エリア:天神地区約80ha、30棟以上のビル建替想定
- 目的:オフィス供給増、IT・スタートアップ誘致、国際競争力強化
- 進捗:2024年までに複数竣工、2030年代前半まで継続
札幌駅周辺の大規模再開発
札幌では札幌駅周辺の再開発が大きく動いています。特に注目されるのが、JR北海道が進める札幌駅ビルの建替計画です。
現在の駅ビル「JRタワー」(2003年開業)は高さ173mで北海道一の高層ビルですが、老朽化や機能更新の必要性から、将来的な建替が検討されています。具体的な計画はJR北海道の経営状況や周辺開発との調整次第ですが、実現すれば北海道最大級のプロジェクトになるでしょう。
また札幌駅前通地下歩行空間(チ・カ・ホ)の延伸や、周辺の商業ビル・オフィスビルの建替も進行中です。これらは「北海道全体の玄関口」としての札幌の拠点性をさらに高める狙いがあります。
札幌の再開発は、福岡のような「規制緩和による誘導型」というより、JR・民間・行政が連携する「拠点強化型」といえます。北海道全域からの人・モノ・情報が集まる結節点として、札幌駅周辺の機能を最大化する方針です。
💡 札幌駅周辺再開発の特徴
- 主要プロジェクト:札幌駅ビル建替検討、周辺商業ビル更新
- 対象エリア:札幌駅〜大通〜すすきの軸
- 目的:北海道の玄関口機能強化、広域拠点性の向上
- 進捗:具体計画は検討段階、周辺ビルは順次建替中
結論:「都会」の定義で答えは変わる─目的別の選び方
「札幌と福岡、どっちが都会?」──この問いに唯一の正解はありません。なぜなら「都会」の定義が、見る指標によってまったく異なるからです。
ここまで5つのデータを見てきました。改めて整理しましょう。
5指標の総括:規模は札幌、密度は福岡
人口総数・市内総生産・地下鉄延長といった「規模」の指標では札幌が優位です。193万人という人口は福岡を26万人上回り、北海道全体の拠点として広域をカバーする交通網も整備されています。
一方、人口密度・百貨店売上・空港アクセスといった「密度・利便性」の指標では福岡が圧倒します。コンパクトに集積した都心、地下鉄5分で着く空港、昼夜間人口比109.8という吸引力。これらは「時間効率」「動きやすさ」という体感的な都会感を生み出します。
| 指標 | 札幌 | 福岡 | 優位性 |
|---|---|---|---|
| 人口総数 | 193万人 | 167万人 | 札幌 |
| 人口密度 | 1,724人/km² | 4,864人/km² | 福岡 |
| 市内総生産 | 7.7兆円 | 7.8兆円 | ほぼ同等 |
| 百貨店売上 | 1,636億円 | 2,577億円 | 福岡 |
| 空港アクセス | 37分 | 5分 | 福岡 |
| 地下鉄網 | 46駅・48km | 36駅・31km | 札幌 |
目的別おすすめ:空港重視→福岡、広域拠点→札幌
では、どちらを選ぶべきか?答えは「あなたが何を重視するか」次第です。
✅ こんな人には福岡がおすすめ
- 出張・移動が多い:空港アクセス5分は圧倒的アドバンテージ
- 時間効率を重視:コンパクトな都心で移動時間を最小化したい
- 国際性を求める:東アジア路線充実、インバウンド・ビジネスチャンス
- 商業・飲食の密度:天神・博多エリアの回遊性・選択肢の豊富さ
- 温暖な気候:冬の積雪・寒さを避けたい
✅ こんな人には札幌がおすすめ
- 広域拠点の安定感:北海道全体のハブとしての存在感
- 自然・観光資源:近郊にスキー場・温泉・国立公園が充実
- ゆとりある生活:広い道路・公園、ゆったりした街並み
- 四季のメリハリ:雪まつり等の季節イベント、夏は涼しく快適
- 国内線ネットワーク:全国各地への直行便が豊富
「都会感」は数字だけでは測れない
最後に強調したいのは、「都会」とは数字だけで測れるものではないということです。
統計データは客観的な判断材料になりますが、実際に住む・働く・訪れる際には、「街の雰囲気」「人の温かさ」「食文化」「気候との相性」といった主観的な要素も重要です。
福岡には博多どんたくや博多祇園山笠といった伝統行事があり、屋台文化が根付いています。札幌にはさっぽろ雪まつりやよさこいソーラン祭りがあり、北海道ならではの食文化が楽しめます。
データで候補を絞り込んだら、ぜひ実際に訪れて、街を歩いて、空気を感じてみてください。あなたにとっての「都会」は、あなた自身の体験でしか見つかりません。
よくある質問
- 札幌と福岡、家賃相場はどちらが高いですか?
-
一般的に福岡のほうがやや高めです。特に天神・博多エリアの都心部では、コンパクトシティ化による需要集中で賃料が上昇傾向にあります。札幌は市域が広く、中心部から離れれば比較的手頃な物件も見つかります。ただし札幌は冬季の暖房費が追加コストとなる点に注意が必要です。
- 転勤で札幌か福岡か選べる場合、何を基準に決めればいいですか?
-
出張頻度・移動範囲が最優先の判断軸です。九州・東アジアへの出張が多いなら福岡、北海道・東日本への移動が多いなら札幌。次に気候への適応(寒さ・雪への耐性)、家族構成(子育て環境・学校選択肢)、趣味・ライフスタイル(ウィンタースポーツ vs マリンスポーツ)を考慮しましょう。
- 子育て環境はどちらが充実していますか?
-
両市とも政令指定都市として保育・教育環境は充実しています。札幌は公園・自然環境が豊富で、のびのびとした環境。福岡は都心コンパクトで保育園・学校への通いやすさが魅力です。大学進学を見据えると、両市とも国立・私立の選択肢があり、いずれも九州・北海道の教育拠点として機能しています。
- 札幌と福岡、将来性が高いのはどちらですか?
-
短期的な成長率では福岡が優勢です。人口増加率は全国トップクラスで、天神ビッグバンによる都市機能更新が進行中。スタートアップ・IT企業の集積も加速しています。札幌は安定した広域拠点として、北海道全体の経済を支える構造。再開発も進んでおり、中長期的な拠点性は維持されるでしょう。
- 観光・レジャーはどちらが充実していますか?
-
札幌は近郊にスキー場(ニセコ・ルスツ等)、温泉(定山渓・登別)、国立公園があり、自然・アウトドア志向なら圧倒的に充実。福岡は糸島・太宰府などの日帰り観光地、屋台・ラーメン・もつ鍋などの食文化・都市型レジャーが魅力。韓国・台湾への週末海外旅行も気軽です。
まとめ
「札幌と福岡、どっちが都会?」という問いに対して、本記事では2025年最新の公式統計をもとに5つの指標で徹底比較しました。
結論は明確です。「都会」の定義によって答えは変わるのです。人口規模や地下鉄網の広がりでは札幌が優位。人口密度・商業集積・空港アクセスでは福岡が圧倒します。
✅ この記事のポイント
- 人口は札幌が26万人多いが、密度は福岡が2.8倍高い
- 市内総生産は両市とも7.7兆円規模で拮抗するが、百貨店売上は福岡が941億円リード
- 空港アクセスは福岡5分 vs 札幌37分で福岡圧勝、地下鉄網は札幌が広域カバー
- 再開発は両市とも活発:福岡は天神ビッグバン、札幌は駅前再開発で拠点強化
- 目的別の選び方:出張多・時間効率重視なら福岡、広域拠点・自然環境重視なら札幌
転勤や移住、進学先選びで迷っているなら、自分が何を優先するかを明確にしましょう。空港からの近さか、広い市域か。コンパクトな密度か、ゆとりある空間か。温暖な気候か、四季のメリハリか。
データは判断の「材料」です。最終的な決断は、実際に街を訪れ、空気を感じ、人と話し、あなた自身の価値観で下してください。
本記事が、あなたの人生の重要な選択の一助となれば幸いです。
参考資料・出典一覧
本記事は以下の一次情報源(公式統計・政府統計・業界団体資料)に基づいて作成しました。すべて2025年10月時点で公開されている最新データを使用しています。
人口・都市統計
- 札幌市「札幌市の人口・世帯数(住民基本台帳人口)2025年10月1日」— 総数1,932,734人
- 福岡市「推計人口(毎月1日現在)2025年10月1日」— 総数1,670,636人
- 札幌市「市勢要覧」— 面積1,121.26km²
- 福岡市「統計資料」— 面積343.47km²
- 総務省統計局 e-Stat「国勢調査 大都市圏・都市圏 昼夜間人口比(2020年)」— 福岡中心市109.8
経済・商業統計
- 札幌市「市民経済計算 令和4年度(2022年度)」— 市内総生産(名目)7兆7,038億円
- 福岡市「福岡市民経済計算 令和3年度(2021年度)」— 市内総生産(名目)7兆8,277億円
- 日本百貨店協会「全国百貨店 売上高速報 2024年1月〜12月 第1表 地区別売上高」— 札幌1,636億円、福岡2,577億円
交通・空港統計
- 北海道新聞「新千歳空港 2024年度旅客数 2,482万6,579人(過去最多)」2025年4月報道
- 主要メディア「福岡空港 2024年度旅客数 2,712万人(過去最多)」2025年4月報道
- JR北海道「快速エアポート 時刻表・所要時間」— 新千歳⇄札幌 特別快速36分/快速37分
- 福岡市地下鉄「地下鉄の概要/路線概要」— 3路線・36駅・営業キロ31.4km、福岡空港⇄博多約5分
- 札幌市交通局「路線図・構内図」— 3路線・46駅
- 札幌市営地下鉄(Wikipedia等)— 総延長約48km(公式資料分散のため”約”表記)
オフィス市況
- 三鬼商事「オフィスマーケット 2025年9月 札幌」— 空室率4.05%/賃料11,001円/坪
- 三鬼商事「オフィスマーケット 2025年9月 福岡」— 空室率4.87%/賃料12,156円/坪
都市開発・再開発
- 福岡市「天神ビッグバン特設サイト」— 容積率緩和、30棟以上の建替想定、2030年代前半まで継続
- 札幌市「都市計画・まちづくり」— 札幌駅周辺再開発関連情報
- JR北海道「札幌駅周辺開発関連リリース」— 駅ビル建替検討等
その他
- 各市公式サイト「市勢要覧」「統計書」— 面積・人口・基礎データ
- 総務省統計局 e-Stat — 国勢調査各種統計表
⚠️ データ利用上の注意
本記事で使用したデータは、公表時点(2025年10月)における最新値です。年度や基準日が異なる指標については、本文中にその旨を明記しています。統計の定義や集計方法の詳細は、各出典元の公式サイトをご確認ください。


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