「伊豆の山にクマはいないから大丈夫」
もしそう思って天城山への登山を計画しているなら、その認識は少しアップデートが必要です。
かつては「地域的に絶滅した」と言われていた伊豆半島ですが、2025年に入り、天城山系での「クマらしき足跡」の確認など、状況は確実に変化しています。
この記事では、公的データと最新事例をもとに「今、天城山に登るなら知っておくべきリアルなリスクと対策」を解説します。
結論を言えば、過度に恐れる必要はありませんが、「クマはいない前提」で登るのはもう推奨できません。
正しい知識と装備を整えて、安全に百名山・天城山を楽しみましょう。
【2025年最新】天城山周辺・伊豆半島の熊出没状況
📌 この記事の核心:天城山の熊リスク
結論から言うと、天城山は「クマの定住地」ではありませんが、「外部からクマが入り込んでいる可能性が高いエリア」へと変化しています。
2025年現在、「絶対にいない」とは断言できない状況です。
決定的な変化|2025年の足跡発見と錯誤捕獲事例
長らく「伊豆にはクマはいない」が定説でしたが、ここ数年の公式記録がその常識を覆しています。
特に重要なのが、直近で確認された以下の事例です。
⚠️ 直近の出没・痕跡事例
- 2025年2月上旬:伊豆市湯ヶ島(国有林内)
森林管理署の職員が、雪上に残された「クマと思われる動物の足跡」を発見。伊豆市が注意喚起を行いました。
出典:IZU Digital / TBS NEWS DIG - 2023年10月:河津町(梨本国有林)
シカ用のわなにツキノワグマが誤ってかかり(錯誤捕獲)、その場で放獣されました。
出典:松崎町公式サイト - 2021年7月:西伊豆町宇久須
こちらも錯誤捕獲により、伊豆半島内での生息(または移動)が確認された事例です。
出典:南伊豆町公式サイト
特に2025年の足跡発見場所は、天城峠や八丁池といった天城山の主要登山エリアにつながる山域です。
これらの事実は、「伊豆にも本州本土側からクマが移動してきている」という現実を突きつけています。
静岡県全体の分布と天城山のリスク評価
では、天城山は富士山や南アルプスと同じくらい危険なのでしょうか?
答えは「No」です。リスクのレベルは異なります。
静岡県が公表している「ツキノワグマ出没マップ」を見ると、県内のクマの生息中心地はあくまで「南アルプス周辺」や「富士山・愛鷹山麓」です。
これらと比較した天城山のリスク評価は以下のようになります。
| エリア | リスク評価 | 状況 |
|---|---|---|
| 富士山・丹沢 | ★★★★★ (高) | 定住しており、目撃・出没が日常的にある。 対策なしでの入山は危険。 |
| 天城山・伊豆 | ★★☆☆☆ (低〜中) | 定住はしていないとされるが、移動個体が迷い込む可能性あり。 遭遇確率は低いがゼロではない。 |
つまり、天城山においては「遭遇する確率は低いが、万が一に備えて基本的な対策(鈴など)はしてくべき」というのが、2025年時点での正解です。
「伊豆だから大丈夫」と油断しきってしまうのが、最も避けるべき行動と言えるでしょう。
天城山はどんな山?安全に登るための基本知識
クマのリスクを正しく理解したところで、天城山自体の特徴と、安全に登るためのルート選びについて解説します。
天城山の位置と特徴|伊豆の屋根・百名山
天城山は単独の峰ではなく、伊豆半島の中央部を南北に貫く山々の総称です。
日本百名山の一つとして知られ、最高峰の万三郎岳(ばんざぶろうだけ・1,405m)を中心に、万二郎岳(ばんじろうだけ・1,299m)などが連なります。
💡 天城山の魅力
温暖な伊豆にありながら、標高1,000mを超えるとブナやヒメシャラの原生林が広がり、深山の雰囲気が漂います。
5月〜6月にかけて咲く「アマギシャクナゲ」の季節は、多くの登山者で賑わいます。
海に近い独立峰のような地形のため、天候が変わりやすく、ガス(霧)が発生しやすいのも特徴です。
視界が悪くなると、クマなどの野生動物との不意の遭遇リスクも高まるため、天候判断は慎重に行う必要があります。
初心者向け「シャクナゲコース」と縦走のリスク
天城山には主に2つの代表的なルートがありますが、クマ対策や体力を考慮すると、初心者には「シャクナゲコース」が圧倒的におすすめです。
✅ おすすめ:シャクナゲコース(周回)
- ルート:天城高原 〜 万二郎岳 〜 万三郎岳 〜 天城高原
- 時間:約6時間(休憩込み)
- 特徴:登山道が整備されており、登山者が比較的多いため、野生動物との遭遇リスクを相対的に下げられます。日帰りで伊豆の山を満喫するのに最適です。
⚠️ 要注意:天城縦走コース
- ルート:天城峠 〜 八丁池 〜 万三郎岳 〜 天城高原
- 時間:約8時間以上
- 特徴:距離が長く(約17km)、人が少ない静かな山歩きになります。
縦走コースは静寂を楽しめる反面、「人が少ない=クマなどの動物と遭遇しやすい環境」とも言えます。
また、行動時間が長くなるため、日没による遭難リスクも高まります。
初めて天城山に登る方や、単独行の方は、まずは登山者が多いシャクナゲコースを選び、複数人で行動することを強く推奨します。
季節と装備でリスクを下げる|入山時間と持ち物
天城山でのトラブルを防ぐためには、クマ対策だけでなく、「いつ、どのような装備で登るか」が非常に重要です。
伊豆市などの公式情報をもとに、安全な登山計画の基準をお伝えします。
季節ごとの注意点|冬の積雪・トイレ閉鎖と活動時期
天城山は「伊豆=温暖」というイメージとは裏腹に、冬場は本格的な雪山となります。
特に初心者が計画する際は、以下の「無雪期(春〜秋)」を選ぶべきです。
⚠️ 冬季(12月中旬〜3月上旬)のリスク
- 積雪・凍結:山頂付近は積雪があり、軽アイゼンなどの雪山装備が必須です。
- トイレ閉鎖:天城峠・八丁池・天城高原のトイレは、凍結防止のため冬期閉鎖されます。
※例年12月中旬〜3月頃まで使用不可
また、日没による遭難や、夕暮れ時のクマとの遭遇を防ぐため、伊豆市では季節ごとの「入山時間の目安」を設けています。
以下の時間を過ぎている場合は、入山を控える勇気を持ってください。
入山リミットの目安(伊豆市推奨)
- 3月〜4月:午前9時まで
- 5月〜7月:午前10時まで
- 8月:午前9時30分まで
- 9月〜10月:午前8時30分まで
- 11月〜2月:午前8時まで
特に秋〜冬は日が落ちるのが早く、15時を過ぎると樹林帯の中は薄暗くなります。
動物の活動が活発になる夕方と下山時間が重ならないよう、早出早着を心がけましょう。
天城山で準備したい基本装備と「音出し」グッズ
シャクナゲコースを歩く場合でも、スニーカーや軽装はNGです。
以下の基本装備に加え、2025年の状況を踏まえた「クマ対策グッズ」を必ず携行してください。
✅ 必須装備リスト
- 登山靴(くるぶしまであるミドルカット以上推奨)
- レインウェア(上下セパレートタイプ)
- ヘッドランプ(日帰りでも必須)
- 紙地図とコンパス(またはYAMAPなどの登山アプリ)
- 十分な水分・行動食
そして、ここ数年の状況変化を受けて、強く推奨されるのが以下のアイテムです。
🔊 マナーとしての「音出し」装備
- クマ鈴:人の存在を知らせる基本アイテム。
- ホイッスル:万が一の滑落時や、動物を威嚇する際に有効。
ホイッスル付きでお手頃なお値段の熊よけ鈴です
静岡県も「音で存在を知らせる」ことを推奨しています。
「伊豆だから恥ずかしい」と思わず、積極的に身につけましょう。
もしクマに遭遇したら?距離別行動マニュアル
どれだけ対策をしていても、相手は野生動物です。万が一出会ってしまった場合、生死を分けるのは「正しい知識」と「冷静さ」です。
出会わないための予防策と遭遇時の対処法
まず大前提として、「ゴミや食べ残しは絶対に持ち帰る」ことを徹底してください。
お弁当の匂いはクマを引き寄せます。
その上で、もし遭遇してしまった場合は、環境省や県のガイドラインに従い、距離に応じた対応をとります。
| 距離感 | とるべき行動 |
|---|---|
| 遠くにいる (50m以上) | 静かに立ち止まり、クマが去るのを待つ。 気づかれていなければ、静かに来た道を戻る。 |
| 近くで遭遇 (至近距離) | 絶対に走って逃げない。背中を見せない。 クマから目を離さずに、ゆっくりと後退する。 |
| 襲われた場合 | 地面に伏せて、首の後ろで手を組み、頭と首を守る。 (防御姿勢をとる) |
特に重要なのは、「背中を見せて走って逃げる」のが最悪の行動だということです。
逃げるものを追う習性を刺激してしまうため、恐怖に打ち勝って「ゆっくり後退」することを覚えておいてください。
緊急連絡先と情報収集
天城山の登山道には、位置特定のための「番号ステッカー」が設置されている箇所があります。
トラブル発生時は、以下の連絡先に通報し、近くのステッカー番号を伝えるとスムーズです。
- 警察・消防:110番 / 119番
- 駿東伊豆消防本部:0558-76-0119(伊豆市案内より)
また、入山直前には「伊豆市観光協会」や静岡県公式ホームページ「静岡県のツキノワグマ」で最新情報をチェックすることをおすすめします。
天城山の熊に関するよくある質問(FAQ)
- 天城山で実際にクマに襲われた人はいますか?
-
2025年2月時点で、天城山(万三郎岳・万二郎岳周辺)での人身被害の公式報告はありません。ただし、周辺エリアでの「錯誤捕獲」や「足跡」は確認されているため、遭遇リスクはゼロではありません。
- クマ鈴は本当に必要ですか?
-
必要です。「伊豆にはいない」という前提が崩れつつある現在、マナーとしても安全対策としても、クマ鈴を携行すべきです。特に平日の人が少ない時間帯は必須と言えます。
- 一番危険な季節はいつですか?
-
クマが活発に動くのは「春〜秋」ですが、登山自体のリスク(遭難・滑落)は「冬」が最も高くなります。初心者は天候が安定しやすい5月〜6月(梅雨入り前)や10月〜11月がおすすめです。
まとめ:正しく恐れて準備すれば天城山は楽しめる
かつて「クマ不在の安全地帯」と思われていた伊豆・天城山ですが、2025年の足跡発見をはじめ、その状況は変わりつつあります。
記事のポイントまとめ
- 天城山周辺でもクマの痕跡(足跡・錯誤捕獲)が確認されている。
- 「絶対にいない」という過信は捨て、クマ鈴などの基本対策を行うべき。
- 初心者は「シャクナゲコース」を選び、入山時間を守る。
- 冬場はトイレ閉鎖&積雪があるため、無雪期がおすすめ。
リスクがあるからといって、天城山の魅力が損なわれるわけではありません。
ブナの原生林や苔むした森の美しさは、準備をして訪れる価値が十分にあります。
「自分だけは大丈夫」と思わず、しっかりとした装備と心構えを整えて、安全で楽しい山旅を実現してください。
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※本記事は2025年12月7日時点の公式発表・報道をもとに作成しています。最新の状況は、必ず自治体などの公式情報もあわせてご確認ください。


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