「あのサル、ニホンザル? それとも別の種類?」——散歩中や庭先でサルを見かけて、ふと気になった経験はありませんか。
結論から言うと、最も確実な見分けポイントは「しっぽの長さ」です。ニホンザルのしっぽは10cm前後と短く、アカゲザルは20〜30cmほどと明らかに長いのが特徴です。
アカゲザルは外来生物法で「特定外来生物」に指定されており、交雑による遺伝子汚染が問題になっています。
この記事でわかること
- しっぽの長さを中心にした見分け方のコツ
- なぜ見分けが必要なのか(外来種・交雑問題の背景)
- 遭遇したときの安全な行動と通報先
外見で見分ける最短ポイント(しっぽの長さ)
見分けで最も頼りになるのは「しっぽの長さ」です。
ニホンザルのしっぽは短く、オスで8〜12cm、メスで7〜10cm程度。体感としては「10cm前後」と覚えておくとわかりやすいでしょう。一方、アカゲザルのしっぽは19〜31cmと明らかに長く、遠目でも違いに気づきやすい特徴です(国立環境研究所 侵入生物データベース アカゲザル)。
注意:しっぽだけで確定はできません
交雑個体(ハイブリッド)や個体差があるため、外見だけで100%判断するのは専門家でも難しいとされています。千葉県の防除計画でも「外部形態から判断あるいは推測」という表現にとどめており、最終確認にはDNA鑑定が必要です(千葉県 第2次千葉県アカゲザル防除実施計画について)。
補助的な見分けポイント(参考程度)
毛色や顔・お尻の特徴も傾向として知られていますが、個体差や交雑の影響があるため「決め手」にはなりません。
- ニホンザル:毛色は茶褐色〜灰褐色。顔とお尻は毛がなく赤みを帯びる
- アカゲザル:背面は灰褐色、腰まわりがやや赤褐色になる傾向(地域差あり)
迷ったときは「しっぽが長い→念のため距離を取る→安全を確保してから通報」という流れを意識してください。
なぜ”違いを知る必要”がある? 外来種・交雑問題の核心
アカゲザルは「特定外来生物」に指定されており、飼育や運搬が法律で規制されています。
問題の本質は「ニホンザルとの交雑による遺伝子汚染」にあります。アカゲザルとニホンザルは同じマカカ属で遺伝的に近いため、交雑が起こりやすいのです。交雑によって生まれた個体も2014年6月11日から規制対象となりました(環境省 特定外来生物の追加指定)。
千葉県の防除計画では、交雑等による生態系被害と農作物被害の防止を目的として掲げています。つまり「見分ける」ことは、在来種であるニホンザルを守るための第一歩でもあるのです。
千葉県・房総半島のアカゲザル事例(経緯と現状)
国内で最も詳細にデータが公開されているのが、千葉県・房総半島の事例です。
発見から現在までの経緯
- 1970年代:房総半島南部で目撃情報
- 1990年代半ば頃:農作物被害などが報告されはじめる
- 2002年:DNA鑑定でアカゲザルと確定
- 2004年:ニホンザル生息域内での交雑がDNA鑑定で確認
- 2007年調査:4群・約500〜600頭を確認
- 現在まで:新規確認や群れの分裂により「19群」に増加
防除の進捗
千葉県はこれまでに3,000頭余りを捕獲してきましたが、完全排除には至っておらず、生息域は拡大傾向にあります。第2次計画の期間は2021年4月1日〜2026年3月31日です。
2019年度から実施されているカウント調査の例では、ウルシ群297頭、スダジイ群290頭、ポピー・キンセンカ群75頭などが確認されています。また、DNA鑑定が可能だった検体2,362のうち、交雑個体は38頭(交雑率1.6%)でした(千葉県 第2次千葉県アカゲザル防除実施計画について)。
ポイント
目撃情報は県や市町村が収集し、地元住民へ還元する仕組みが整えられています。「見かけたら通報」が防除活動の大きな助けになります。
サルに遭遇したときの正しい行動
サルに出会ったときは「刺激しない・近づかない」が鉄則です。
野生のサルは、人間の何気ない行動を「威嚇」や「攻撃のサイン」と受け取ることがあります。以下の行動を避け、落ち着いて距離を取りましょう。
やってはいけない危険な行動
- 近づく:不用意に近づくと襲われることがあります
- 目を合わせる:サルにとっては威嚇と受け取られる可能性があります
- 大声を出す・驚かせる:防衛本能を刺激し、攻撃につながる恐れがあります
- エサを与える・食べ物を見せる:人慣れが進み、被害拡大の原因になります
- スマホで撮影する:カメラを向ける動作がサルを刺激することがあります
安全を守るための行動
- 静かにゆっくり離れる:背を向けず、サルの様子を見ながら後ずさりする
- 建物に入る・車に乗る:安全な場所へ速やかに移動する
- 戸締りを徹底する:窓や勝手口からの侵入を防ぐ
特に注意が必要な方
幼児や小さなお子さんは、サルにとって「自分より弱い相手」と見なされやすく、被害を受けるリスクが高まります。また、小型犬を連れた散歩中に襲われる事例も報告されています。目撃情報が出ている地域では、散歩を控えることも検討してください(千葉市 サルを目撃したら)。
通報・記録のしかた 110番と自治体窓口の使い分け
「身の危険を感じたら110番」が基本です。
通報先は状況に応じて使い分けましょう。迷ったときは、まず安全を確保してから判断してください。
通報先の使い分け
- 110番(警察):襲われそう、追いかけられているなど、身に危険が迫っているとき(千葉市 サルを目撃したら)
- #9110(警察相談専用電話):緊急性はないが相談したいとき。全国共通で、発信地を管轄する窓口につながります
- 市区町村の担当窓口:目撃情報の提供、被害相談など。自治体によって担当課が異なるため、事前に確認しておくと安心です
通報時に伝えると役立つ情報
安全を確保したうえで、以下の情報を伝えられると対応がスムーズになります。
- 目撃した場所(住所や目印となる建物)
- 目撃した時刻
- サルの頭数(わかる範囲で)
- サルの行動(威嚇していた、食べ物を漁っていた など)
- 移動した方向
- 周囲に人がいたかどうか
大切なこと
通報や記録は、正確な情報でなくても構いません。「だいたいこのあたり」「たぶん2〜3頭」で十分です。無理に近づいて確認しようとせず、安全確保を最優先にしてください。
よくある質問(FAQ)
- しっぽの長さ以外に見分ける方法はありますか?
-
毛色や顔・お尻の特徴に傾向の違いはありますが、交雑個体や個体差があるため確実ではありません。遠目で判断に迷う場合は「しっぽが長め」と感じたら念のため距離を取り、安全を確保してから通報するのが安心です。
- 交雑個体かどうかは見た目でわかりますか?
-
外見だけで交雑個体を判別するのは専門家でも困難です。千葉県の防除計画でもDNA鑑定で確認する方針が取られています。一般の方が見分ける必要はありませんので、「サルを見かけた」という事実を通報していただければ十分です。
- エサをあげてしまった場合はどうすればいいですか?
-
今後は与えないようにしてください。一度でもエサをもらった経験があると、サルは人間に近づきやすくなり、被害が拡大する原因になります。周囲の方にも「エサを与えない」ことを伝えていただけると、地域全体の安全につながります。
- 自宅の庭にサルが来た場合はどうすればいいですか?
-
まず窓や戸を閉め、室内から様子を見てください。サルが去るまで外に出ないのが安全です。去った後は、庭に食べ物(果物、野菜、ペットフードなど)を放置しないよう注意し、再発防止に努めましょう。被害があった場合は自治体の担当窓口に相談してください。
- アカゲザルを見かけたら必ず通報すべきですか?
-
目撃情報は防除活動の重要な手がかりになります。「アカゲザルかどうか確信が持てない」場合でも、気になったら自治体や警察(#9110)に情報提供していただくと助けになります。
まとめ
アカゲザルとニホンザルの見分け方と、遭遇時の対処法について解説しました。最後に要点を整理します。
- 見分けの最短ポイントは「しっぽの長さ」:ニホンザルは10cm前後、アカゲザルは20〜30cmほど
- 外見だけで確定はできない:交雑個体や個体差があるため、最終判断にはDNA鑑定が必要
- アカゲザルは特定外来生物:ニホンザルとの交雑による遺伝子汚染が問題になっている
- 遭遇したら「刺激しない・近づかない」:静かに離れ、安全を確保する
- 通報先は状況に応じて使い分け:危険なら110番、相談なら#9110、目撃情報は自治体へ
最も大切なのは、見分けに迷っても「安全確保」を最優先にすることです。「しっぽが長いかも」と感じたら、無理に確認しようとせず距離を取り、落ち着いてから通報や相談をしてください。
お住まいの地域でサルの目撃情報が出ている場合は、自治体のホームページで最新情報を確認しておくと安心です。
主要な一次情報・参考文献
- 千葉県「第2次千葉県アカゲザル防除実施計画について」
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アカゲザル」
- 環境省 特定外来生物の追加指定
- 政府広報オンライン「警察相談専用電話 #9110」
- 千葉県警察 警察全般(総合相談窓口)
- 千葉市「サルを目撃したら」
本記事は、2026年2月1日現在に確認できた公的資料・自治体の公開情報に基づいています。最新の情報は各自治体・関係機関の公式発表もあわせてご確認ください。


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