「道志の森キャンプ場に行きたいけれど、最近の熊ニュースを見て不安になっている……」
「ネットの噂ではなく、本当のリスクと対策を知っておきたい」
このように悩んでいませんか?
大自然を満喫できる最高のロケーションだからこそ、野生動物との距離感は気になりますよね。
結論から言うと、道志の森キャンプ場は「ツキノワグマの生息域ど真ん中」に位置しており、周辺地域では毎年のように目撃情報があります。しかし、正しい知識と対策を持っていれば、過度に恐れる必要はありません。
この記事では、山梨県や神奈川県の公式データに基づき、道志エリアのリアルな熊リスクと、明日から使える具体的な安全対策を解説します。
この記事を読めば、「なんとなく怖い」という状態から脱し、自信を持って安全管理ができるキャンパーになれます。
道志の森キャンプ場の熊リスクは?結論と公式情報の現実
まずは核心的な結論からお伝えします。
道志の森キャンプ場を利用する際は、「クマが生息している山の中でキャンプをさせてもらっている」という意識を強く持つべきです。
道志の森は「クマ生息地の中のキャンプ場」
道志の森キャンプ場は、道志川の支流・三ヶ頼川沿いに約2kmも広がる、自然豊かな林間サイトです。
このロケーションは魅力的ですが、動物の視点で見れば「山梨県道志村〜神奈川県丹沢エリア」という広大なツキノワグマ生息域の一部に過ぎません。
リスク認識のポイント
- 道志村は富士・丹沢エリアのツキノワグマ生息域に含まれる
- 「クマ生息域の端っこ」ではなく「生息域のど真ん中」という認識が必要
山梨県や神奈川県の公式サイトでも、このエリア一帯がクマの生息地であることが明記されています。
つまり、「いつ、どこで目撃されても不思議ではない場所」であることは間違いありません。
公式情報では「キャンプ場内での大きな被害」は確認されず
一方で、安心材料もあります。
2023年から2025年にかけての道志の森キャンプ場公式サイトを確認しましたが、「場内でクマ被害発生」「緊急閉鎖」といった重大な告知は見当たりません。
これは以下の可能性を示唆しています。
- キャンプ場内で、公式に告知が必要なほどの深刻な人身被害は起きていない
- 多くのキャンパーが利用しているが、適切な距離感は保たれている
ただし、これは「絶対に安全」という意味ではありません。
公式に大騒ぎにはなっていなくとも、「すぐ近くの山にはクマがいる」という緊張感を持つことが、安全への第一歩です。
【公式データ検証】道志村・山梨県・丹沢周辺の出没状況
ここでは、感覚的な「怖い」を排除するために、自治体が公表している客観的なデータを見ていきます。
道志の森キャンプ場単体ではなく、「道志村〜周辺エリア」という広い視野で見ることが重要です。
山梨県全体の統計と道志村の現状
山梨県の公式データ「ツキノワグマ出没に対する注意について」によると、県内では毎年のように人身被害が発生しています。
| 年度 | 人身被害件数(県内) |
|---|---|
| 令和7年度 | 2件(北杜市・身延町) |
| 令和6年度 | 2件 |
| 令和5年度 | 2件 |
| 令和4年度 | 1件 |
※2025年11月時点の山梨県公表データより引用
道志村の「鳥獣被害防止計画」によると、村内では「農業被害は少ないものの、人家周辺や道路周辺での目撃がある」とされています。
過去には室久保地区(道志の湯周辺)や大栗地区などで目撃情報があり、これはキャンプ場へのアクセス道や生活圏と重なります。
つまり、「山奥だけでなく、人の気配がある場所にもクマは現れている」というのが現実です。
見落としがちな「道志川流域・丹沢・相模原」とのつながり
道志の森キャンプ場のリスクを考える際、山梨県側だけでなく「神奈川県側の状況」も見るべきです。
なぜなら、クマにとって県境は関係なく、丹沢山地から道志川沿いに移動してくる可能性があるからです。
広域リスクの視点
神奈川県・丹沢山地のツキノワグマ推定生息数は約80頭。
道志川下流の「相模原市緑区(道志ダム周辺)」でも目撃情報が多発しています。
道志川流域全体が「クマが行き来する回廊(コリドー)」になっているとイメージしてください。
「キャンプ場の敷地内に入ったからセーフ」ではなく、行き帰りの道中や、周辺の温泉への移動中も含めて警戒が必要なエリアなのです。
リスクが高まる「時期・時間・場所」の条件
道志の森キャンプ場はいつ行っても同じリスクではありません。
「熊が活発になる条件」を知り、そのタイミングを避ける、あるいは警戒レベルを上げることで、安全度は格段に上がります。
6月〜11月は活動ピーク!キャンプシーズンとの重複
まず認識すべきは、キャンプのハイシーズンと熊の活動期が完全に重なっているという事実です。
山梨県のデータによると、ツキノワグマの目撃が増えるのは「6月下旬〜11月下旬」です。
これは以下の理由によります。
- 初夏(6-7月): 繁殖期で行動範囲が広がる
- 秋(9-11月): 冬眠前の食い込み時期で、エサを求めて活発に動く
つまり、道志の森が最も賑わう夏休みや紅葉シーズンこそ、「人間と熊の活動エリアが重なる時期」なのです。
この期間に行く場合は、オフシーズン以上に厳重な対策が必須です。
特に危険な「朝夕・薄暗い時間」と「川音・霧」の関係
熊は基本的に「薄明薄暮性」、つまり明け方と夕暮れ時に最も活発になります。
さらに道志の森キャンプ場特有の環境要因として、「川音」と「霧」があります。
これらが重なると非常に危険です。
気づかないリスクが高まる条件
- 川音: 沢沿いのサイトでは川の音で周囲の物音(足音や気配)がかき消される
- 霧: 特に秋の早朝は霧が出やすく、視界が悪くなる
「川の音が心地いい」と感じるその環境は、裏を返せば「熊が近づいてきても気づけない環境」でもあります。
薄暗い時間の単独行動、特に川音の激しい場所でのソロ散策は避けるべきです。
子ども連れ・初心者キャンパーが避けたいタイミング
もしあなたがファミリーや初心者グループなら、以下の条件が重なる日は避ける、もしくは警戒レベルを最大にすべきです。
- 平日や雨の日: 利用者が少なく、キャンプ場内が静まり返っている時
- サイトの奥地: 誰もいない林間エリア
人が少ない日は「静かで最高」ですが、熊にとっても「人間を警戒せずに歩ける日」になります。
初心者は、あえて「土日などの人が多い日」や「管理棟に近いエリア」を選ぶのが、最も確実な安全対策です。
【実践編】道志の森で徹底したい具体的な熊対策
ここからは、実際にキャンプ場に着いてから行うべき「具体的な行動(Do)」を解説します。
知識だけでなく、行動を変えることがあなたと家族を守ります。
サイト選びの鉄則:管理棟近く・見通しの確保
広大なフリーサイトである道志の森では、「どこにテントを張るか」でリスクの8割が決まると言っても過言ではありません。
熊対策を最優先するなら、以下の条件を満たす場所を選んでください。
- 管理棟や主要なトイレに近い場所(人の往来がある)
- 見通しが良い開けた場所(死角が少ない)
- 背後が守られている場所(崖や壁などがあり、背後から接近されにくい)
逆に、「林の最奥部」「獣道のような跡がある谷筋」「背後が深い草藪」といった場所は避けるべきです。
「プライベート感」と「安全性」はトレードオフの関係にあります。不安があるなら、迷わず人の気配がある場所を選びましょう。
食材・ゴミ管理の絶対ルール:夜間の「車内避難」が最強
熊を引き寄せる最大の要因は「ニオイ」です。
どんなに熊鈴を鳴らしても、美味しそうなニオイが漂っていれば熊は興味を持ちます。
最も強力で確実な対策は、「寝る前に、食材・ゴミ・クーラーボックスをすべて車の中にしまうこと」です。
就寝前の鉄則ルーティン
- 生ゴミは二重の袋に入れて密閉する
- 食べ残しや調味料、クーラーボックスをすべて車内に移動してロックする
- テントの前室(前室は外と同じです)には何も置かない
「面倒くさいから」とテントの横にクーラーボックスを放置するのは、「熊に餌付けをしている」のと同じです。
自分の命だけでなく、その熊を「人の味を覚えた危険な熊」にさせないためにも、徹底した管理をお願いします。
炊事・BBQ・焚き火でニオイを残さないためのひと工夫
調理や食事中も注意が必要です。
特に道志の森は直火禁止ですが、焚き火台を使っていても油やタレが地面に落ちれば、そのニオイは残ります。
以下の「ひと手間」を惜しまないでください。
- 焚き火シートを必ず敷く: 食べこぼしや油ハネを地面に直接吸わせない
- すぐに拾う: お肉などを落としたら、放置せずに必ず拾ってゴミ袋へ
- 食器は寝る前に洗う: タレがついたままの網や皿を放置しない
ニオイの元をサイトに残さないことが、結果的に結界のような役割を果たします。
トイレ・炊事場・川遊びへの移動時に気をつけたい動き方
最も無防備になりやすいのが、トイレや炊事場への移動中です。
特に夜間や早朝はリスクが高まります。
移動時は以下の3点を守ってください。
- 光で照らす: 高光量のライトで足元だけでなく周囲を照らす
- 音を出す: 移動中だけ熊鈴を鳴らす、または声を出しながら歩く
- 複数人で動く: 夜のトイレは、大人でも2人以上で行く
「イヤホンをしたまま歩く」のは絶対にNGです。
周囲の音(ガサガサという音や気配)を遮断してしまうため、遭遇リスクが跳ね上がります。
熊鈴・ラジオ・スプレーなど対策グッズの選び方と使いどころ
「何を持っていけばいいの?」と迷う方に向けて、道志の森キャンプ場で現実的に有効な装備バランスを解説します。
熊鈴・ラジオは「いつ・どこで・どのくらい」鳴らす?
「常に鳴らしっぱなし」は周囲のキャンパーへの迷惑にもなりかねません。道志の森では、以下のようなメリハリのある運用がおすすめです。
- 熊鈴・ホイッスル:サイト外への移動時(トイレ・散策)のみ鳴らす。テントサイトに着いたら音を止める。
- ラジオ:ソロキャンプで周囲に誰もいない場合や、昼間の設営中に小さく流す。「人の声」は熊への警告として有効です。
ホイッスル付きでお手頃なお値段の熊よけ鈴です
熊撃退スプレーを持つか迷う人への判断基準
「熊撃退スプレー(唐辛子スプレー)」は最強の自衛手段ですが、高価で使用期限もあり、扱いも難しいアイテムです。
購入を検討すべき人
- ソロキャンパーで、人の少ない時期やエリアを好む人
- 道志だけでなく、より山深い野営地にも行く予定がある人
- 「安心をお金で買う」と割り切れる人
ファミリーキャンプで、管理棟近くの賑やかなエリアを利用するだけなら、必須とまでは言えません。
それよりも「強力なライト」と「食材管理の徹底」にお金をかける方が、費用対効果は高いと言えます。
熊を見かけた・気配を感じたときの行動フローと連絡先
万が一、場内や周辺で熊(らしき動物)を見かけてしまったらどうすればいいのか。
事前にシミュレーションしておくだけで、パニックを防げます。
その場でやってはいけないNG行動
以下の行動は、熊の狩猟本能を刺激し、状況を悪化させる可能性があります。
絶対NG行動
- 走って逃げる(逃げるものを追う習性がある)
- 大声をあげる(熊を興奮させる)
- 近づいて撮影する(命取りになります)
基本は「熊から目を離さずに、静かに、ゆっくりと後ずさりして距離をとる」ことです。
緊急時の連絡先と使い分け
安全な場所に避難できたら、状況に応じて連絡を入れましょう。
- まずは管理棟へ: 場内での目撃なら最優先。スタッフの指示を仰ぎます。
- 緊急性が高い場合(110番): 熊がテントに近づいて離れない、威嚇されているなど、身の危険がある場合。
- 情報共有(村役場・警察): 落ち着いてから、目撃情報を共有します。
道志村役場(代表):0554-52-2111
道志の森キャンプ場の熊に関するよくある質問(FAQ)
- 道志の森キャンプ場で最近、熊による人身事故は起きていますか?
-
公式サイトや自治体の公表データを確認する限り、近年(2023〜2025年)キャンプ場内での重大な人身被害の報告はありません。ただし、周辺の道志村内や丹沢エリアでは毎年のように目撃情報があり、リスクがゼロではないことを理解して利用する必要があります。
- 一番危険な時期はいつですか?
-
一般的に熊の活動が活発になる「6月〜11月」です。特に初夏の繁殖期と、冬眠前にエサを求める秋(紅葉シーズン)は注意が必要です。この時期はキャンプのハイシーズンとも重なるため、食材管理などの対策を徹底してください。
- 熊鈴はキャンプ場内でも鳴らした方がいいですか?
-
常に鳴らす必要はありません。テントサイトにいる時は外し、トイレや炊事場への移動中、特に夜間や早朝、人気のない場所を歩く際のみ鳴らすのがマナーとしても効果としても適切です。
- もし熊を見かけたら、キャンプは中止すべきですか?
-
まずは管理棟や警察に連絡し、指示を仰いでください。不安が強い場合や、熊が興奮している様子が見られる場合は、無理をせず撤収・避難するのが賢明な判断です。「もったいない」より「命の安全」を最優先しましょう。
- 車中泊の方が安全ですか?
-
はい、熊対策の観点だけで言えば、テント泊よりも車中泊の方が圧倒的に安全です。特にソロや少人数で不安な夜は、無理にテントで寝ず、車中泊に切り替えるのも立派な安全対策の一つです。
まとめ:正しく恐れて、道志の大自然を安全に楽しもう
道志の森キャンプ場は素晴らしいフィールドですが、「熊のリスク」は確実に存在します。
しかし、それは「行ってはいけない場所」という意味ではありません。
最後に、この記事の重要ポイントを振り返ります。
道志の森・熊対策の極意
- 道志エリア全体が「クマ生息地」であると自覚する
- 6月〜11月と朝夕の薄暗い時間は特に警戒レベルを上げる
- サイト選びは「管理棟近く・見通しの良い場所」を選ぶ
- 寝る前の「食材・ゴミの車内避難」は絶対にサボらない
- 移動時は「光と音」で自分の存在を知らせる
「自分だけは大丈夫」という油断を捨て、「いるかもしれない」という前提で準備をする。
この意識さえあれば、道志の森キャンプ場での時間は、かけがえのない素晴らしい体験になるはずです。
しっかりと準備を整えて、安全で楽しいキャンプを!
※本記事は2025年12月4日時点の公式発表・報道をもとに作成しています。最新の状況は、必ず自治体などの公式情報もあわせてご確認ください。


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